1脊髄損傷とは
脊髄損傷とは、脊椎が外力により損傷されることによって発生する疾患です。
2脊髄損傷による後遺障害
脊髄の損傷による後遺障害は、以下の基準により等級が認定されることになります。
等級 | 該当症状 |
---|---|
別表第1 第1級1号 | せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するものであり、以下のものが該当する。 ①高度の四肢麻痺が認められるもの ②高度の対麻痺が認められるもの ③中程度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの ④中程度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの |
別表第1 第2級1号 | せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するものであり、以下のものが該当する。 ①中程度の四肢麻痺が認められるもの ②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの ③中程度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの |
別表第2 第3級3号 | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、せき髄症状のために労務に服ることができないものであり、以下のものが該当する。 ①軽度の四肢麻痺が認められるもの(「第2級1号」の②に該当するものを除く) ②中程度の対麻痺が認められるもの (「第1級1号」の④又は「第2級1号」の③に該当するものを除く) |
別表第2 第5級2号 | せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないものであり、以下のものが該当する。 ①軽度の対麻痺が認められるもの ②一下肢の高度の単麻痺が認められるもの |
別表第2 第7級4号 | せき髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないものであり、一下肢の中程度の単麻痺が認められるものが該当する。 |
別表第2 第9級10号 | 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものであり、一下肢の中程度の単麻痺が認められるものが該当する。 |
別表第2 第12級13号 | 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため多少の障害を残すもの 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが該当します。また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当します。 |
3脊髄損傷による損害賠償
脊髄損傷による損害賠償においては、他の怪我と同様に治療費、慰謝料、逸失利益等を請求することができますが、特徴的な損害としては以下のものがあります。
(1) 慰謝料、逸失利益
脊髄損傷により後遺障害が認められた場合、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益は以下の基準となります。
等級 | 慰謝料 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|
第1級 | 2800万円 | 100% |
第2級 | 2400万円 | 100% |
第3級 | 2000万円 | 100% |
第5級 | 1440万円 | 79% |
第7級 | 1030万円 | 56% |
第9級 | 670万円 | 35% |
第12級 | 280万円 | 14% |
(2) 将来介護費
脊髄損傷により将来にわたり介護の必要がある場合には、将来介護費を請求することができます。
1日あたりの金額を基準として平均余命までの金額が算定されます。
1日あたりの基準額は、職業付添人は必要かつ相当な実費、近親者付添人の場合は8000円とされ、常時介護ではなく随時介護の場合は適宜減額して算定されます。
(3) 装具、器具購入費
不自由な体の機能を補うための装具、器具の購入費用で、耐用年数により将来的に買換えの必要が認められる場合には、将来の買い換え費用についても損害として認められます(将来の費用であるため、算定においては利息控除の必要があります)。
(4) 家屋・自動車改造費
後遺障害により生じた日常生活の支障を取り除くために、家屋や自動車を改造した場合には、必要かつ相当な範囲で損害として認められます。