交差点で直進車が右折車の右又は左から進入した交通事故の過失割合
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交差点で直進車が右折車の右又は左から進入した交通事故とは?

交差点で直進車が右折車の右又は左から進入した交通事故には、同幅員の交差点の事故、一方が明らかに広い道路の交差点の事故、一方に一時停止の規制がある交差点の事故、一方が優先道路の交差点の事故があり、細かく基本過失割合が決められています。
こうした交差点の事故で、保険会社から過失相殺を主張されている場合、保険会社から別冊判例タイムズ38の【115】~【125】図のどれかのコピーが送られてきていると思いますので、検討すべきポイントをいくつか確認していきたいと思います。
検討すべきポイント
①事故状況に争いがある
信号の設置された交差点で信号の色に争いがある場合など、そもそも事故状況に争いがあるために、過失割合も大きな争いとなってしまうことがあります。
保険会社が、加害者の説明する事故状況に基づいて過失割合を主張してきても、ご自身の記憶と異なるのであれば示談する必要はありません。
刑事記録を取り寄せるなどして反論していくことになります。
②明らかに広い道路
同幅員の交差点と、一方が明らかに広い道路の交差点では、異なる基本過失割合が採用されています。
明らかに広い道路とは、運転者が交差点の入り口においてその判断により客観的にかなり広いと一見して見分けられるものをいい、交差する道路より少し広いだけの道路ではこれに当たりません。
基本的には、刑事記録により道路の幅を把握した上で、現場写真も踏まえつつ主張を行って行くことになります。
③一時停止後の進入
交差点に一時停止の規制がある場合、一時停止側の過失を重いとする基本過失割合が採用されています。
一時停止を全く無視して停止せずに進行したのではなく、一時停止後に交差点に進入したことは、過失割合の修正要素とされています。
④一方が優先道路の場合
一方が優先道路の交差点の事故では、優先車の過失は極めて軽く、劣後車の過失は極めて重いとする基本過失割合が採用されています。
事故現場の道路が優先道路とされているかについては、いろいろと判断方法はありますが、実況見分調書を確認するのが確実といえます。
⑤既右折
既右折が右折車に有利な修正要素とされている事故類型があります。
既右折とは、直進車が交差点に進入する時点で、右折が右折を完了している、またはそれに近い状態にあることをいいます。
⑥早回り右折
右折車が早回り右折をすることが、右折車に不利な修正要素とされている事故類型があります。
早回り右折とは、交差点の中心の直近の内側を進行しない右折をいいます。
⑦直進車側の速度違反
直進車の15㎞以上の速度違反、30㎞以上の速度違反が修正要素とされている事故類型があります。
速度違反については立証が難しいのですが、実況見分時の指示説明における両車の移動距離を比較したり、あるいは警察での取調べで速度超過を認めている場合もありますので、まずは刑事記録を入手することが重要となります。
⑧著しい過失、重過失による修正
脇見運転、携帯電話の使用、おおむね時速15㎞以上の速度違反等は著しい過失、居眠り運転、おおむね時速30㎞以上の速度違反などは重過失として修正要素となりますので、こうした事情があれば主張を検討することになります。
過失割合に納得できないときは?
保険会社の主張する過失割合に納得できないときは、無理に示談をする必要はありません。
一方で、過失割合について個人で争うのはなかなか難しいため、専門家へのご依頼を検討されても良いのではないかと思います。
西宮原法律事務所では、交通事故の無料相談を行っており、交通事故の着手金も無料となっておりますので、お気軽にご相談いただけると幸いです。

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